ARTICLE
業界ニュース
益虫・害虫の話 (3)〈Part 1〉施設の汚れを告げるハエ
2024.03.15
「益虫・害虫の話」 (3) Part 1
―:施設の汚れを告げるハエ:―
虫は、人との共同生活者である。どちらかの都合で、敵になついたり味方になったりしている。前回、紹介した「チョウバエ」は、人が快適さを追求する過程で造り出された害虫である。
住いが、昔風の木造家屋であれば、余り気にもしなかった虫が、表面的な奇麗さを増したがたまに、敵視される虫がいる。
これは、概して、都市型仕様となり、メンテナンスの必要性を失念した所で、問題が起り易い。そんな虫に、ノミバエが居る。
ノミバエは体長が1.1から2.0mm程度の胸部の発達した小型のハエである。
分類学的には、双翅目のノミバエ科に属する一群のハエである。ノミバエは英名をHumpbacked flies、猫背のハエと云い。屋内で普通に見られる。
成虫は、活発に飛び跳ねるが、食卓や台所を歩きまわる。薄暗い台所や厨房等では、気にならなかったが、建物が明るく奇麗になると目立つ虫である。
ノミバエの幼虫は腐植物質、漬物、動物や昆虫の死体、腐肉などに発生する。また、老朽化施設の下水管周辺で、漏出物が土壌化した所からも発生する。また、成虫は食品屑、廃棄物、トイレの臭気等に誘引され、金網の目から侵入する。
食品工場や大量調理施設等では、洗い場、水周り、排水溝等の汚れがひどいと多発性する。水周りのメンテナンスが悪く、汚物が貯まっていると発生する。このハエは、施設の汚れ具合を教えるハエである。
このハエの姿を見かけたら「肉トラップ」で、入念に調査をし、発生源を突き止めて除去する。悪いことに、幼虫が時おり検便や検尿の時に発見されるなど、油断のならない微小虫である。
生活史は、25℃の条件下で卵期が15時間、幼虫期が3日、蛹期が9.3日で、卵から成虫になるまでが約13日である。
いずれにしても、このハエは施設のメンテナンスの手ぬかりを告げる「指標昆虫」と言えば「益虫」なのだ。

画像説明
可愛げなこの微小バエ、汚れを告げる指標虫。しかし幼虫は「ハエ症」の虫。