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益虫・害虫の話 (5)〈Part 1〉夏の虫、ハチ達の話
2024.03.15
虫は私達に季節を感じさせる生きものである。なかでも強烈に夏を想い出させるのが「ハチ」である。
昔、夏休みとなれば、連日、昆虫採集に夢中になった。珍品のチョウや大型のカブトムシの樹木には必ずと云う程、大型の「ハチ」が頑張っていて、採集の邪魔をされた悔しさを今だに忘れない。
私にとって、ハチは、8月の「ワル虫」の筆頭である。しかし、どうした訳か、今ではハチ駆除の相談を受けたり、これを駆除する指南をする日々を過ごしている。
云うなれば、昔の敵が、今は味方の交際である。それにしても、今年は「ミツバチ」を始めとするハチ駆除相談が多い。
しかし、この「ハチ」の駆除は、本当に必要なのだろうか、若干、気になるところである。それと云うのは、一般にハチは〝刺す〟と云う面だけで憶えられている節がある。今一度、「ハチ」を見直してみたい。
ハチ(蜂、Bees、Wasps)は膜翅目に属する大きなグループの中の虫である。この仲間は、おおよそ12万種が知られていて、日本でも4000種を超す状況である。これは、日本の全国市町村数の1787市町村よりも多い数である。
このハチ類の食性は、植物を食べるものから他の昆虫を捕食あるいは寄生したり、花蜜の採取、キノコを栽培するなど変化に富んでいる。
このグループの体形は、腹部にくびれの無い広腰亜目と腹部が細くくびれる細腰亜目のハチは、有錐類と有劍類のふたつがある。
私達の印象深いのが、後者の有劍類で、これには、アリやミツバチ、スズメバチが含まれ、セイボウ上科、スズメバチ上科、ミツバチ上科の3上科がある。
これが、問題のハチの全体像であるが、膜翅目の虫から「アリ」を除いたのが「ハチ」である。
ハチの特徴は、部部に一対の複眼と3個の単眼を持っている。触覚は長く、10節を数える。普通、口器は咀嚼(かむ口)口であるが、なかにはストロー状のものもある。
雌は、産卵管を持つが、これが「針」になったものがある。これが、ハチの幼虫の餌である昆虫を麻酔する注射器に使われたり、巣を脅かすものを攻撃する武器とする。したがって、巣を脅かさなければ、良い訳である。社会性の種類は、日本では約2%程度である。

画像説明
植木の中のハチの巣。刺激を与えなければ攻撃して来ない。
林 晃史氏
元千葉県衛生研究所次長
東京医科歯科大学医学部非常勤講師